415a8c8f.jpg随分前にお預かりしたK社のオールドツナギ(25年モノ)のサイズ修正がようやく完成した。余り急いでは居ないとの事でお預かりしたが長い事お待たせしてしまった(^^;)
25年前といえば「シャーリング」「ケブラーニット」「メッシュ」などは皆無で、首にかろうじてスパンニットが使われている程度。現在のスポーツバイクにまたがるにはサイズ以前に窮屈なのは明らかである。
せっかくバラスのだからという事でその辺もサイズ修正と平行して施しましょうという事に!>Back
是非、Before(加工前)と比べてみて欲しいものである!
さて、マメにメンテナンス(ミンクオイル等)していた方なので古い割には状態はいいのだが、さすがに革に劣化は避けられずバラシ作業が困難を極める。
糸を丁寧に解いていくのだが何故かいつもの様にスムーズにいかないのである。
今ではほとんど使われない「8番※」と思われる極太の糸で縫製されている。
当時まだ開発が進んでおらず革が今と違って2,3割薄かった事に加え補強の方法も未知数であったろう部分を補う「先人の知恵」なのだろうと感心しながら作業を進める”
※:糸の太さは数字が大きくなるほど細くなり、Suit本体は20番(要所によりもちろん8番も使用する)LogoName等は40番が一般的。
やってしまった!」丁寧に注意して解いているにもかかわらず恐れていた事が...。
場所によっては致命的になるのだが幸い縫製的に問題ない部分であったので、補強用のトコ※を作成し裏から丁寧に革用ボンド(通称ラバー)でいったい成型させる。
※トコ:革の裏の起毛の部分
また、サイズ修正もサイズUPの方なので革の色がやはり劣化で近い色を探すのもなかなか一苦労である。f^^;)
サイズ修正の方は、スタイルの良い方ではあるが25年の時を経て全体的に2回り程。
※年齢を重ねると「窮屈」に対してどうも敏感になるのかゆったり目を好む方がほとんどである。(当然この辺も考慮しなければならない。)
「袖」「太股」「フクラハギ」の部分はケブラーニットを施すと同時にサイズアップも考慮したパターンを作成、「シャーリング(肩)」「脇ニット」を用いる事でスポーツバイク特有の「前傾」に対応視ながらバストサイズアップを図るといった様に、通常のサイズ修正とは異なり「創意工夫」が重要なのである!パターン
脇下〜ウェストまでは革色の違和感を考慮し「パンチングメッシュ」をチョイス。
ヒップ部分はデザインがあるのでそのデザインイメージを重視してパターン作成。
以前のモノをそのままとも思ったのだが針目が糸が太いためか年月がたっているためかかなり目立ってしまっていたので上記をチョイスした次第である。Side
その部分だけは革が新品なのでミンクオイル等で馴染ませ着込んで行けばおそらく問題ないレベルであろうという判断である。
25年程転倒も無く大切に着込んだツナギであるため、通常のリペアとは違い(感覚的にOldCarのレストアに似ている!?)もてる技術を駆使して取り組んだ仕事に今までには無いある種の充実感を覚えた仕事であった(^^)v
追伸:今回はサイズ修正のついでであったが、この様に古いツナギでもモディファイすることにより現行に近い形で蘇るというお手本になればと思う次第です(^^)
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